「三学倶(とも)に伝ふるを名(なづ)けて妙法と曰ふ」(伝教大師全集)
とは伝教大師の言であるが、その三学とは、戒・定・慧である。
悪を止め善を勧める戒と、心の散乱を防いで鏡のように澄んだ心境にする定と、色々な問題の理非同意を決する慧の三が、仏教の内容における三大基本である。この三学は仏教全般にわたっているが、方便権教の三学は末法の衆生を救うことができない。故に、大聖人は、久遠以来の南妙法蓮華経に具わる三学を、三大秘法として取り出されたのである。本尊とは虚空不動定であり、戒壇とは虚空不動戒であり、題目とは虚空不動慧で、すべて久遠の昔から法界に遍満して揺るぎない教法の源を表している。
この本尊より戒壇と題目が開かれて三大秘法となり、本尊は人・法、戒壇は義・事、題目は信・行に開かれて六大秘法となり、さらにこれを開けば、大小乗の三学・六度・無量の法門となる。また、これらを合すれば六大秘法となり、六大秘法は三大秘法に、さらに一大秘法の本尊に収まるのである。この一大秘法の本門の本尊を末法弘通の法体として見れば、それは三大秘法総在の本門戒壇の大御本尊となるのである。
大聖人の宗旨の三秘が一切の教法の総体であり、末法の三学とは、この三大秘法なのである。