本宗は日蓮正宗と言う。
宗祖日蓮大聖人は、末法万年の長い時代、さらに未来にわたるすべての民衆を救済する仏であり、又仏教の真実の教義体系から言えば、あらゆる仏菩薩の根元、すなわち本仏としての意義を持たれている。
本宗は、こうした大聖人の宗旨と宗教を、現在において正しく伝える唯一の宗団であるから、日蓮正宗と称するのである。
元来、各宗団の名称は、発生以来の種々な因縁によることが多い。
本宗でも、上代は法華経に依って宗旨を立てる意味で法華宗と言い、また天台法華宗と区別する意味で日蓮法華宗と言う時代もあった。明治以後、身延山系では釈尊を仰ぐ宗旨なので、適当でないのにかかわらず、先に日蓮宗と称した。この状況において、大聖人より二祖日興上人へ宗旨を紹継(しょうけい)する富士山系は一応、日蓮宗興門派と名乗ったこともある。
明治三十三(1900)年九月、大聖人の血脈を相承する大石寺が総本山として独立した時、日蓮宗富士派と公称し、明治四十五(1912)年六月七日、さらに日蓮正宗と改称したのである。
しかし、過去の名称いかんにかかわらず、また時の為政者による仏教宗団に対する行政上の強制的離合集散の措置とは別に、わが宗門が大聖人の宗旨を、正しくありのままに紹継する唯一の宗団と確信する上に、日蓮正宗の名称が存する。
この意義の上から、日蓮正宗の歴史は、大聖人の立教より、建長五(1253)年四月二十八日に始まるのである。そうして、大聖人の宗旨は、二祖日興上人、三祖日目上人と血脈相承して現在に至っている。