勤行の仕方と観念文の意義

入信後は、自宅に御本尊を

日々の修業の基本は、御本尊に向かって勤行・唱題をすることです。一日も早く自宅に御本尊をご安置するようにしましょう。
御本尊は、寺院よりお貸し下げいただきます。仏壇を置く場所やご本尊へのお給仕の仕方は、僧侶や紹介者から説明を受けてください。勤行の仕方を早く覚えるためには、寺院に参詣するか、紹介者宅もしくは自宅で紹介者と一緒に勤行・唱題するとよいでしょう。
私宅に御本尊をご安置するまでの間は、本門戒壇の大御本尊がまします総本山大石寺(静岡県富士宮市)の方角に向かって勤行・唱題をするようにしましょう。

勤行とは

勤行とは「勤めて善法を行う」ことで、仏前でお経を読み、礼拝することを言います。
日蓮正宗の勤行は、ご本尊に向かって、法華経の方便品第二と如来寿量品第十六を読誦し、南無妙法蓮華経の題目を唱えます。これをもって御本尊に御報恩謝徳申し上げ、広宣流布をはじめ諸願成熟をご祈念し、さらに先祖の追善供養などを行います。
私たちは、これを毎日、朝(五座)・夕(三座)に弛まず実践していくことによって、即身成仏という真の幸福境涯に到達することができるのです。

勤行実践の功徳
勤行は、いつでも自分の都合に合わせて一人で行なうことができる半面、自分自身がやる気を起こして実践しなければ、いつまでたってもできません。ですから、勤行は最もやさしい修行であると同時に、最も難しい修行であるとも言えます。
勤行は、すべての修行の根本であり、幸福な生活を築く原動力となる修行ですから、いい加減な勤行をしたり、怠けたりすると、仕事でも私生活でも、毎日が空回りしてしまいます。なんとなく体調が優れなかったり、性格的な悪い癖が出てきてしまったりして、何事もうまく行かない状況になってしまうのです。
日蓮大聖人は、
「仏法は体のごとし、世間はかげのごとし、体曲がれば影ななめなり」(諸経と法華経と難易の事・1469頁)
と仰せられています。体とは信心、影とは生活であり、体である信心が曲がれば、当然、影である生活も斜めになって、行き詰まってしまいます。反対に、毎日の勤行がきちんと実践できていると、様々な功徳を実感することができます。その例をいくつか挙げますと、

  • 御本尊の偉大な御力によって守護される
  • 物事を正しく判断できる智慧がいただける
  • 心身ともに、スッキリと快調になる
  • 仕事も私生活も、不思議とスムーズに進む
  • 難しい状況や心配なことも、悠々と乗り越えていける

などがあります。これらは、真剣な勤行の実践によって、御本尊から功徳をいただいて、生命力があふれてくるからなのです。

勤行の姿勢
日蓮大聖人が、
「日蓮がたましいをすみにそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ」(経王殿御返事・685頁)
と仰せのように、御本尊は仏の御当体ですから、勤行の時には、日蓮大聖人に直々にお目通りし、最高の礼を尽くす気持ちで望むことが大切です。暑いからといって裸に近い服装で行ったり寝間着のまま行うようなことは、厳に慎むべきです。
勤行をする時は、御本尊に向かって正座し、胸の前で合掌します。この時、肘を高く上げたりせず、自然な形で脇を締めます。視線は、御本尊中央の「南無妙法蓮華経」の「妙」のお文字を中心に拝します。
勤行中には、よそ見をしたり、居眠りなどをしないように心掛けなくてはいけません。もし雑念が涌いてきた時には、御本尊様と境智冥合できるように、さらに唱題に励みましょう。

    • ※上記のことについて日顕上人の御指南は、
    • しかし、末法の凡夫は常に様々な雑念・妄念に執らわれているから、唱題の時において、知らず知らず貧・瞋・癡・慢・疑の心や、生活中の様々な過去の記憶や現在の諸々の問題などが心に浮かぶ。これは「余念なく」の御指南に反するようであるが、これに対し、どのように考えるべきであろうか。
    • この「余念なく」には、身・口・意の三つがある。信心により御本尊に向かい、口で妙法を唱える時、心はあれこれと種々の雑念が起こっても、口に題目を唱える以上、口の在り方は「余念なく」に通ずる。身体もきちんと合掌していれば、口と同じことになる。遠い過去からの癖で、すぐに雑念が出る人も、身・口・意三業のうち、身と口が余念のない形であるならば、それを絶えず続ければ、残る意も次第に「余念なく」状態になっていく。
    • ある時は、雑念が起こっても、また、ある時はいつの間にか素直な心で御本尊に集中して題目を唱えている自分を感ずる。かくて、自然に余念なく題目を唱える行が進むところに、大きな根本の定の功徳が現当二世に広がるのである。また、正しい願いであれば、その成就を真剣に祈って唱題するのは、雑念でなく正行である。「三大秘法義・余念のない唱題 六二三頁より抜粋」

また読経のときには、お経を間違わずに正確に発音できるように、お経本を見て読誦することが望ましい姿です。声は大きすぎず、小さすぎず、中音で朗々と唱えましょう。

二人以上で勤行を行う場合
二人以上で勤行を行うときは、一人が導師を務め、他の人は導師に唱和します。
この時には、以下のことに注意しましょう。

  • 勤行開始時と終了時の題目三唱、また各座における引き題目では、導師が最初の「南無」を唱え、他の人はその後に続いて唱和します。
  • 方便品・寿量品の題号と、各座における題目三唱は導師が声を出して唱え、他の人は合掌して頭を下げ、声を出さずに心の中で唱えます。
  • 題目三唱は「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」と二回続けて唱え、いったん切ってから三回目の「南無妙法蓮華経」を唱えます。

土浦市の亀城公園に隣接した日蓮正宗のお寺です。お気軽にお訪ねください。